交通事故で加害者に直接請求するときの注意点

交通事故で加害者に直接請求するときの注意点

 

私が事故担当者として保険会社で働いているときに、最も嫌だったのが被害者の方が加害者に直接請求するケースでした。

 

保険会社の人間はあくまでも示談代行者であって、法的に加害者への直接請求をストップすることはできません。

 

お願いベースで、「連絡は控えるようにしてください。」としか言えないです。

 

そこで、この記事では加害者へ直接請求する際の注意点などをまとめましたので、ご参考にしてください。

 

 

直接請求しても思い通りにならないことのほうが多い

 

保険会社が払わないなら残りを加害者に直接払ってもらうまでだ。このお気持ちは分らなくはないです。

 

ただし、加害者に電話しても加害者の方が応じるかは別問題です。

 

私の経験上、保険会社が支払えない分を自己負担で払うとおっしゃった契約者様は1%以下です。それで、示談解決したこともありましたけどね。

 

なぜ、応じないかは相手保険会社が加害者の方に「保険会社に任せてますんでと言ってください」と事前に伝えているからです。

 

そして、「例え、裁判になっても払う必要のないものだから、応じる必要はない」とも伝えています。

 

なので、直接請求する場合は、しっかり根拠があるのに保険会社が認めてくれない場合に限りです。

 

「法律なんて関係ないから払え!」という姿勢で交渉しても絶対にうまくいきませんし、下手をすると事態が悪化する可能性もあります。

 

 

直接請求はやりすぎると弁護士が介入して解決が長期化する

 

保険会社は契約者を保護する目的で、弁護士を介入させることが多々あります。

 

だいたい、保険会社の「これ以上、(加害者に)しつこく電話するならこちらもしかるべき対処をせざるを得ません。」などの通告を無視して直接請求を続けた場合に、弁護士に依頼をします。

 

そうなれば、もう自分の希望額で示談することは難しいとお考えください。

 

保険会社は妥協して示談することはありますが、弁護士は法的根拠のある請求でないと絶対に認めてくれません。訴訟になっても同様です。

 

そのため、ただ解決まで長期化してしまうだけで何らメリットはないとお考えください。

 

 

加害者を味方につける請求方法が最も効果的

 

保険会社が強気に出れない相手が誰かというと契約者(加害者)と契約者加入の保険代理店です。要は、それを逆手に取り加害者から保険会社を説得してもらうんです。

 

保険会社が一番恐れる事態は、契約者が「保険会社が不誠実だ」と言って保険を解約する状況です。

 

そうなれば、保険代理店がだまっていません。「相手が自分の保険代理店にクレームを言う⇒保険代理店が保険会社に圧力をかける」。こうなれば担当者は本当に追い込まれます。

 

ただし、加害者も最初は保険会社の言うことが正しいと当然考えています。

 

なので、それをひっくり返せるほどの材料がないと、加害者も保険会社説得には動いてくれませんよ。

 

 

弁護士に相談してみるのがいい

 

全損の時価額がどうしても納得できないなどであれば、まずはご自身で弁護士に相談されることをおすすめします。

 

初回相談は無料としている弁護士事務所も多いですし、自分の請求が正しいかどうかを第三者の法律のプロに客観的にみてもらってください。

 

それで、「相手保険会社がおかしい。」という意見でしたら、その事実を元に加害者に直接請求するのもいいですし、弁護士費用特約があるのであれば、弁護士に窓口になって交渉してもらうのも一つです。

 

ただし、全損事故においては裁判にならないと決着しないことのほうが多いとお考えください。例え、弁護士に依頼してもです。

 

なぜなら、詳しくは以下の裁判例をご確認頂きたいのですが、時価額算定の明確な基準が定まっていないからです。根拠ある証拠があっても裁判で認めてもらえる確率は五分五分とお考え下さい。

 

 

そのため、徹底的に闘うという以外は、妥協点を見つけて示談されるのが賢明なのかもしれません。

 

 

まとめ

 

加害者請求することはダメではありません。むしろ、当然の権利です。

 

ですが、直接請求したからといって相手が応じないといえばそれで終わりです。それに激怒して何度も電話すると弁護士が介入するという悪循環です。

 

そのため、まずは自分の請求が正しいかどうかをまず弁護士に聞いてみてから行動に移されることをおすすめします。

 

ただ、保険会社は弁護士にびびって妥協することは一切ないので、必ずしも状況が好転するわけではないということはご理解ください。

 

 

page top